リノベーションとリフォームの違いとは?定義や費用相場を解説!


(公開日:2022年5月9日/更新日:2023年5月1日)

実家を二世帯住宅に改装しようと考える時に、リノベーションとリフォームどちらにしようか悩むというお声をいただくことが少なくありません。

実は、リノベーション=「革新、刷新、修復」、リフォーム=「悪い状態からの改良や回復」と異なる意味があるのをご存知でしょうか。

どちらが良い、悪いではなく、それぞれにメリット、デメリットがあります。違いをしっかりと理解しておくことで、費用を抑えながら、理想の住まいづくりを進められるのです。

いずれが適しているかは、お住まいの状態や目指したいイメージ、予算によっても異なるので、しっかり検討することが大切です。




本記事では、リノベーションとリフォームの違いや費用相場を詳しく解説していきますので、判断材料にしてください。
合わせて、リノベーションとリフォームの進め方や任せる会社の選び方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


リノベーションとリフォームの違い

リノベーションとリフォーム、言葉は似ていますがそれぞれ意味が異なります。

リノベーションは新しい価値をプラスすること、リフォームは経年劣化などの老朽化でマイナスになったものを元の状態に戻すことを意味します。

新築の状態をゼロとするなら、リフォームはマイナスからゼロへと戻り、リノベーションはこれまでになかった価値を加えてプラスにすることです。

リノベーションとリフォームでは目的が異なりますので、それぞれの特徴を区別して理解を深めることが大切です。

リノベーションとは

英語では”renovation”と書きます。
リノベーションにあたるのは次のような工事です。

  • ■水回りの移動や拡張
  • ■配管の取り替えや移動
  • ■間取りの変更
  • ■壁や屋根、天井の取り替え など



このように、住まいの基礎部分を残して全体的にブラッシュアップする工事をリノベーションと言います。また、断熱性の高い壁を付けたり、風通しを良くしたりして性能をもとの家よりも高める場合も、リノベーションと呼びます。

リフォームとは


英語では”reform”と書きます。
リフォームにあたるのは次のような工事です。

 

  • ■クロスの張り替え
  • ■浴槽の入れ替え
  • ■外装の塗り直し など


このように、古くなった建物を新築の状態に戻す工事のことをリフォームと言います。
マンションなどの賃貸住宅に住んだことがある場合は「原状回復」という言葉をイメージしていただくとわかりやすいと思います。


リノベーションとリフォーム:費用の違い

リノベーションとリフォームは費用面でも大きな違いがあります。
リノベーションはマイナスからプラスへと引き上げる工事、リフォームはマイナスからゼロまで引き上げる工事なので通常は、リノベーションのほうが費用がかかります。

たとえば、昭和の時代によくあった背面式のキッチンが老朽化したケースで考えてみましょう。キッチンリフォームでは、古くなったシステムキッチンの交換や、汚れたクロス、クッションフロアの張り替えといった工事が行われます。

これに対してリノベーションでは、背面式を今トレンドのオープンキッチンやアイランドキッチンにすることや、隣接している居間をつなげてリビングダイニングにするような工事を行います。

キッチンの位置を動かすためには配管位置の変更が必要になりますし、間取り変更のためには壁の撤去や居間の畳、キッチンのクッションフロアを外すなど、大掛かりな工事になるでしょう。工事をする場所や設備のグレードなどによっても異なりますが、一般的にはリフォームよりもリノベーションのほうが費用は高くなります。



リノベーションは、間取り変更や耐震性強化など大規模工事になる場合が多く、40㎡~80㎡で、500万~2,000万円ほどかかります。

一方、リフォームは設備交換などの簡易的な工事で、設備のグレードによって差が出るものの、リノベーションに比べてコストは安いです。間取りを変更せずにパーツごとに対応でき、その時出せる予算の範囲でリフォームできます。

先のケースでも、システムキッチンの交換だけ、クロスの張り替えだけ、床材の張り替えだけと、老朽化の度合いや予算に応じて無理なく行うことが可能です。

<パーツごとの費用の目安>

■トイレ交換:約15万~40万円
■キッチン交換:約80万~150万円
■洗面台交換:約20万~40万円
■壁紙の交換:6畳/約4万~6万円

リフォームでは、住まいの姿は大きく変化しません。今風のおしゃれな設備に変更されたり、昔はなかった便利な機能が付いた設備に変更できたり、汚れたクロスや床がきれいになるといった施工になります。

これに対してリノベーションは、居心地の良い自分好みの空間へと生まれ変わらせることができます。「ライフスタイルに応じて、導線を考えた家に住みたい」など、ライフステージの変化や世代交代、住み替えを通じて、自分たちの理想を実現したい時はリノベーションがおすすめです。

費用面が気になる方は、先に予算と優先したい工事を決めておくと計画が立てやすくなります。リノベーションの費用詳細については、下記の記事も合わせてご覧ください。

▶ 【戸建てフルリノベーション】費用相場や成功のポイントを紹介

リノベーションとリフォーム:それぞれの魅力


リノベーションとリフォームの魅力をまとめていきます。

■リノベーションの魅力:
デザイン性の高いオリジナルの空間を手に入れられる点

■リフォームの魅力:
リーズナブルな価格で機能をアップデートできる点

先の老朽化したキッチンの例で考えてみましょう。古い家だとキッチンは背面式や厨房分離式が多いです。6畳のダイニングキッチンの隣に、畳の居間が隣接しているなど、部屋数も多いのが昔の間取りです。


リノベーションでは、今時の対面式のオープンキッチンに刷新し、ダイニングと居間をつなげて、広々としたリビングダイニングをつくるなどダイナミックに空間を変化させられます。

使いづらい動線を変えることが目的の場合もありますが、家族が増えた場合やバリアフリー化をする場合もリノベーションをするケースがあります。

これに対してリフォームでは、収納豊富なキッチンに交換することやビルトイン食洗器付きのキッチンへとグレードアップが可能です。昔に比べて技術が進化しており、設備の機能性が高まっているため、リフォームでも高機能化できます。


リノベーションのメリットとデメリット


コストはかかるけれど、今とはガラリと異なる理想の住まいにカスタマイズできるリノベーション。
コストを抑えながら古い設備を新しい設備にグレードアップすることもできるリフォーム。
いずれも魅力的で、どちらにすべきか迷われている方もいるかもしれません。

両者の違いをより理解するために、それぞれのメリット、デメリットをご紹介します。
さらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶ 中古住宅のリノベーションはやめたほうがいい?知っておくべきメリットとデメリット

メリット1. 自由にデザインできる


構造により制約があるケースもあるものの、間取り変更などを通じて、空間デザインを大きく変えられます。柱や梁、基礎部分など、骨組み以外を変更することもできるので、新しい家に住み替えるような感覚になります。

2つの部屋をつなげてリビングを広くしたり、逆に家族一人ひとりの部屋を作ったり、クローズドキッチンからオープンキッチンに変更なども可能です。実際にどんなことができるかイメージを膨らませたい方は、下記の事例集もぜひ参考にしてください。


▶ おしゃれな戸建てに住みたい!夢を叶えるリノベーション事例集!


メリット2. 家をグレードアップできる


リノベーションと同時に住まいの耐震性を強化できます。梁と壁の接合部に専用の金具を取りつけたり、基礎部分と地盤を固めたりと、最新の耐震性を備えた家に作り変え、大地震が来ても耐えられる家にグレードアップできるのです。

弊社は阪神淡路大震災以降、この耐震診断と強化を約8,000棟行ってきた実績があります。
安心して長く住める家についてはぜひご相談ください。

▶ 耐震工事の施工事例はこちら


メリット3. ライフスタイルに合わせて調整できる


リノベーションは、ライフステージやライフスタイルに合わせて、住まいの間取りや機能を大きく変えられるのもメリットです。


子どもが増えたから子ども部屋を増やす、独立したから部屋数を減らして広いリビングルームを作り、三世代みんなで集まれる場所を作るなど、柔軟に対応できます。

老後を考えてバリアフリー化することや親と同居するために親の個室を作ることも可能です。将来的に大きなニーズの変化が起きた時も新たな家を購入することや建て替えをせずに希望を叶えられます。

デメリット1. 工期が長くなりやすい


一方で、リノベーションのデメリットは、工期が長くなりやすいことです。設計から工事完了まで、何度も打ち合わせを重ねるので、相談の段階から設計を行い、工事をして完成するまでに半年ほどかかるケースが少なくありません。

フルリノベーションとなると、仮住まいが必要になることもあります。しばらくキッチンやお風呂が使えなくなるケースもあり、ホテル暮らしをする場合も少なくありません。

リフォームなら場所や交換する設備にもよりますが、1日~1週間程度で完了できます。


デメリット2. 物件によっては理想の間取りにならない


リノベーションは、今ある建物の構造に影響するため、希望の間取りを実現できないケースがあります。たとえば、部屋を1つにつなげたくても、建物の屋台骨となる主要な柱が邪魔をする場合や床下の痛みがひどく、当初の予算以上の莫大な費用が予想され、断念せざるを得なくなるケースも少なくありません。

水回りの配置変更も、水道管や排水管の位置変更が難しく、できないケースもあります。

リフォームのメリットとデメリット


リノベーションのメリット、デメリットがわかったところで、今度はリフォームのメリット、デメリットも見ていきましょう。両者を比較しつつ、自宅の状況や理想のイメージ、予算を踏まえて、いずれがマッチしているのか検討するのがおすすめです。

メリット1. 費用や工期を最小限に抑えられる

リフォームはパーツごとの交換など、コンパクトな工事により、費用と工期を抑えられるのがメリットです。たとえば、キッチンをリフォームするにあたっては、設備交換、クロス張り替え、床張り替えをまとめて行えば、より美しくすることができます。

一方で、費用や工期が長くなるのを避けたいなら、システムキッチンが壊れたから交換する、クロスの汚れがひどいので張り替える、床が沈むようになったので張り替えるなど、必要な部分だけ行うことができます。

メリット2. 理想をイメージしやすい

間取り変更も踏まえて理想の姿という方もいる一方、建築士のような専門家でない限り、既存の住宅がどのくらい変化できるのかはイメージしにくいものです。

これに対して、設備を今時の新しい設備に交換する、クロスを別のカラーやデザインのものに張り替えるだけなら、理想の姿をイメージしやすいです。

デメリット1. 家の補強はできない

家の一部を改修するため、全体の耐震補強はできません。古い家であれば耐震性は低いままになってしまうでしょう。

不便を感じている箇所のみを変更できるのが、リフォームのメリットの一つです。
「全体的に住みやすいけれど、トイレだけは最新の設備に変更したい」「介護のためにお風呂場だけ手すりを付けたい」など、部分的に気になる点がある方にはリフォームをおすすめします。

リノベーションとリフォーム、どちらを選ぶべき?

リノベーションとリフォームのメリット、デメリットは、実際に行いたい工事や工事後のイメージによって自宅に当てはまるかどうかが変わります。そのため、いずれの方法を採るべきかは、具体的に何をしたいのかで変わってきます。

たとえば、子どもが生まれた場合に子供部屋を新たに作りたいなら、リノベーションを行って、間取り変更や壁を追加するのがおすすめです。



また、ご実家で両親と同居を考えているなら、実家のリノベーションを行い、間取り変更をはじめ、水回りや玄関の増築、移動などをするのがスムーズです。

一方、お風呂やトイレを新しくしたいならリフォームで設備交換、剥がれてきた壁紙をきれいにしたいならクロスの張り替えをするだけで済みます。

かつては、誰もが新築のマイホームを手に入れたいと願う新築至上主義が主流でした。ですが、最近は年収が右肩上がりに上がっていく時代も終わり、長く使い続けることが望ましいといったエコ意識が広まり、マイホームに関する考え方も変わりつつあります。

実家や築年数の経過したマイホームをリノベーションすることや古くて安い中古住宅を購入し、費用をかけて自分たち好みにリノベーションする方が増えてきました。新築や建て替えよりはリノベーション、パーツだけで良いならリフォームをして長く使い続けることがおすすめです。

リノベーション・リフォームの進め方

リノベーションやリフォームの進め方は、まずどのような工事を行い、どうしたいのかを検討することから始まります。

リフォームの場合は、老朽化によって、そのままでは生活できない不都合が生じて、急遽行うことも少なくありません。いずれにしても、業者を探して相談するのが最初の一歩です。


スケジュール感は工事の規模によって変動しますが、リフォームは比較的短期間で済みます。設備交換やクロス張り替えなど、業者が持参するカタログから好みの製品を選び、それが入荷次第工事ができます。

設備交換なら1日~3日程度、クロスや床の張り替えなどを同時に行っても1週間程度あれば終了するケースが多いです。一方、リノベーションは建物の構造などの事前調査や打ち合わせ、設計や修正の時間も必要となります。

悩むことも多いので、工事着工まで時間がかかるのが一般的です。規模が大きくなるほど、仮住まいやホテル住まいが必要になることや生活に制約が出ることも少なくありません。
工事内容にもよりますが、相談から完成まで半年程度かかるケースが多いです。

いずれにしても、最初の第一歩は、信頼できる業者との出会いと相談です。そもそも、自分たちが考えているリノベーションやリフォームが実現可能か、プロに相談してみないとわからないことが多いため、まずは自分に合った業者探しから始めましょう。

リノベーション・リフォーム会社の選び方

では、リノベーション・リフォーム会社はどのように選べば良いのでしょうか。まずは、工事をしたい物件がある地域の業者を検索して、ホームページをチェックしてみましょう。
得意分野や施工事例をチェックし、行いたい工事を得意としているか、理想のイメージに近い施工事例があるかを確認します。

次に価格が予算内に収まりそうか、施工事例の価格を見ることや見積もりを取って検討しましょう。しかし、価格の安さのみで選んではいけません。

見積もりを取る際、実際に担当者と話をする機会が生まれます。担当者との相性や対応力、提案力をはじめ、長く安心して快適に住むためには技術力の高さも重要な要素です。

リノベーションを依頼する会社の選び方をもっと詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご覧ください。

リノベーション会社の選び方|優良業者を見極める5つの視点

まとめ

リノベーションは、ライフステージやライフスタイルの変化に合わせて家の価値を高める工事、リフォームは家の価値を新築と同じような状態に戻す工事です。「どんな家に住みたいか」、「今後どうやって暮らしていくのか」を家族で話し合い、理想のイメージを具体化しましょう。

そのうえで、リノベーションとリフォームそれぞれの魅力やメリット、デメリット、費用相場なども踏まえ、いずれがニーズにマッチするのかを考えます。どちらを選ぶにしても、理想が実現できるかは、業者の提案力や技術力にも大きく左右されます。

理想を叶えるパートナーとして、リノベーションやリフォームの実績が豊富な弊社にぜひ、ご相談ください。

リノベーションについてもっと詳しく知りたいという方は、下記の記事も合わせて参考にしてください。

▶ 中古住宅(戸建て・一軒家)のリノベーション費用を徹底解説!

▶ 戸建てリノベーションのデメリットと具体的な対応策を紹介します

▶ 【戸建てフルリノベーション】費用相場や成功のポイントを紹介

▶ 【築40年の木造住宅】リノベーション注意ポイント


 

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