介護リフォームの全体像|箇所別の費用相場や補助金についても解説

 

(公開日:2022年5月30日/更新日:2023年8月23日)

「高齢になった両親の介護のために」「自分が高齢になった時のために」という理由で、持ち家を介護用にリフォームしたいと考えていませんか。

 

今回はそのような方に向けて、介護リフォームが重要な理由や施工すべき箇所について解説していきます。

介護リフォームを行うにあたって気になる費用をはじめ、補助金・減税についても合わせてご説明しますので、参考にしてください。介護リフォームの全体像がわかるよう、工事を依頼する際の注意点なども記載しますので、ぜひお役立てください。


介護リフォームが重要な理由




高齢者の事故のうち、8割は自宅で起こっていると言われています。そのため、介護リフォームは非常に重要な役割を果たしています。若い人や高齢者との接点が少ない人にとっては、その重要性がわかりにくいかもしれません。

しかし、高齢になると身体能力や筋力が低下するため、よろけたり転んだりする可能性が高くなります。また、注意力が低下し、視力も悪くなることがあります。そのため、室内には高齢者にとって怪我や事故につながりやすい危険な場所がたくさん存在していると言えます。

この章では、家の中の危険箇所を紹介しますので、介護リフォームを検討する際の参考にしてください。


家の中にある段差に要注意 

 

家の中に段差があると、気になりませんか。最近では、新築時から段差のないバリアフリーに対応したマンションが増えていますが、戸建て住宅や築年数の古いマンションでは、段差のある箇所が多いものです。

 

階段や玄関の大きな段差はもちろんのこと、部屋と廊下をつなぐ部分や、脱衣所と浴室などのわずかな段差でも、高齢者にとっては、つまずきや転倒の原因になります。また、段差があると車椅子を使う際も不便になってしまいます。小さなお子様や大人でもつまずきや転倒の危険があるため、段差はできるだけ解消しておいた方が安心です。


介護する側(介助者)の視点も重要

 

介護が必要になるのは高齢者だけでなく、病気やケガ、障害などの場合もあります。歩行時やトイレの介助が必要になったり、車椅子での移動が必要になったりするケースもあります。

 

また、介護リフォームを考える際には、介護が必要な方だけでなく、介助や介護をするご家族の視点も重要です。

たとえば、段差があると車椅子の移動がスムーズにできず、車椅子を持ち上げるなどの労力が必要になります。手すりが付いていれば、介護される方が自分で移動したり、体を支えたりできるため、介助者の負担が軽減されます。

 

介護は1年365日必要なため、スムーズに行えるよう、介護される方だけでなく、介護をする人のストレスが軽減できる介護リフォームが重要です。



将来に備えた準備が必要

 

介護が必要になってから、慌てて介護リフォームをする方が多く見られます。入院中に介護が必要になり、退院する前に急いで寝室を畳からフローリングに変えたり、手すりを取り付けたりすることもあります。

 

しかし、時間がないため必要最低限のリフォームしかできず、介護される方や介護する方にとって不十分な環境しか準備できなければ、介護の負担やストレスが増えてしまうでしょう。

 

スムーズで安全に介護ができる環境を整えるためにも、介護が必要となる前に計画的にリフォームを考えることが重要です。



特に介護リフォームすべき箇所

 


将来を見据えて、早い段階から介護リフォームを計画して、安心して暮らせる住まいを実現することが理想です。しかし、予算の関係や実行に時間がかかることもあります。そんなときでも、特に介護リフォームすべき箇所に重点を置くことで、安心の環境を整えることが可能です。

 

特に重視すべきポイントは、段差の解消と立ち座りです。これらのポイントを踏まえ、どこを重点的にリフォームすべきかを見ていきましょう。

 

 

玄関


日本の住宅には、玄関に上がり框があるのが大きな特徴の一つです。近年、段差の低い玄関も増えてきましたが、多くの住宅で大きな段差があります。日本では靴を脱いで家にあがる文化があるとともに、玄関は外と内を分ける場所として段差を設ける構造が根付いてきました。

 

普段は当たり前のように感じていることも、いざ高齢になって足腰が弱った場合や車椅子を使うようになると、危険で使い勝手も悪くなります。また、段差が小さくても、小さなお子様にとっては転げ落ちてけがをする可能性があるため、家族の安全のために解決することが重要です。

 

玄関の段差の解消方法としては、踏み台やスロープ、電動昇降機の設置があります。玄関の広さや段差の高さに合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。車椅子を使う場合には、スロープや電動昇降機の設置、自分で昇り降りができる場合には踏み台を設置して段差を軽減する方法があります。段差が小さい場合には、手すりや椅子の設置がおすすめです。

 

介護リフォームの費用相場についても気になる方は、以下のページもご確認ください。


玄関の介護リフォーム|人気の箇所や費用相場を紹介!


 

トイレ

 

介護度が高くなると、おむつを使用することになりますが、ご自身でできる間は自分でトイレに行くことで自尊心を保ち、介護する人の負担も軽減できます。

 

しかし、トイレには危険もあるため注意が必要です。トイレの出入り口の段差や、立ち座りする際の支えがないこと、ウォシュレットなどの操作が難しいこと、居室との急激な寒暖差によるヒートショック対策が必要なことなどが挙げられます。特に、冬場や夜中のトイレは寒く、急激な温度変化で血圧が急激に変動して倒れるケースが多く危険です。

 

転倒防止のためには、トイレと廊下の段差を解消し、手すりを設置することで立ち座りしやすくするのがポイントです。また、和式トイレは高齢者や介助が必要な方には使いづらいため、洋式に変更するとよいでしょう。自動開閉や自動洗浄など、自動でサポートしてくれるトイレの導入も便利です。

 

トイレ内をタイル張りにし、断熱材の入った壁やフローリングに変更することで冷えを防ぎ、暖房器具の設置も考えましょう。また、車椅子を使用する場合は、ドアを引き戸にすることでスムーズな出入りができます。



お風呂

 

清潔を保つためにお風呂に入ることは大切ですが、介護や介助が必要になった状態で、一番大変となるといっても良いのが入浴です。浴室は水やお湯を使うので滑りやすくなり、浴槽で溺れるなどリスクが高い場所です。冬場の浴室が冷えていると、裸の状態で入ることから、トイレ以上にヒートショックのリスクも高まります。

 

介護される方の状態や介護度にもよりますが、まずは手すりの設置が必須です。入り口のほか、浴槽の出入りのため、シャワーを使うために立ち座りをする場所など、適切な箇所に複数設置すると安心です。浴室で転倒して大腿骨骨折をして寝たきりになることや頭部を打って亡くなる事故も少なくありません。そのため、滑りにくい床材へ変更することも大切です。

 

足腰が弱ってくると、浴槽をまたいで入ることが難しくなるので、浴槽を低く設置することやリフトを付けるなどの方法もあります。

 

ご家族で介護するだけでなく、訪問介護を利用する際も、浴槽や浴室のリフォームが整っていると、安心して任せやすくなります。

 

詳しくは下記のページをあわせてご参照ください。

【お風呂のリフォーム】介護に重要な施工ポイントや費用相場


【箇所別】介護用リフォームの費用相場


まずは介護リフォームの事例が多い箇所の費用相場から見ていきましょう。
よく行われるリフォーム箇所と大体の費用を知っておくと、予算に合わせて対応箇所を選びやすくなります。


手すりの設置 


1メートルあたり約5,000〜1万円が手すり本体の価格相場です。
玄関・階段・トイレ・お風呂場・リビングなど、手すりはいろんな場所に設置するため、合計すると6〜10メートルほどの長さになります。施工費用も合わせると約3〜10万円が相場です。


段差の解消


木の埋め込み・スロープを含め、1箇所あたり約2〜15万円です。
段差は介護が必要な人にとって、想像以上にケガをしやすく危険な場所です。階段はもちろん、敷居などの小さな段差であっても転倒の原因になります。


通路幅の拡張


通路の長さや部屋の大きさにもよりますが、目安は約30〜100万円です。
車椅子を利用する方の場合、通路幅が90cm以上ないと通りづらいため、廊下の幅を拡張しなければなりません。マンションや耐力壁が通路にある戸建てでは、拡張できないこともあります。


ドアの変更


開き戸から引き戸への変更は1箇所約10〜15万円です。
体が動きにくくなったり、車椅子が必要になったりすると開き戸の開閉が難しくなります。スムーズに移動できるように、ドアの変更は重要です。


玄関スロープ


スロープと手すりの設置工事は約20万円です。階段や門の撤去・土間の工事も同時に行うと、合計は約40〜50万円かかります。
玄関と地面との段差がなくなると、車椅子や杖を使う方も出入りしやすくなるため、多くの方が玄関にスロープを設置しています。


浴室


滑りづらい床材への張り替え・手すりの設置・浴槽の交換・暖房設備の設置を行なうと約70〜150万円。今まで使用していたお風呂で危険が伴う場合、介護用のユニットバスへ丸々変更する方法もあります。これはプラス約80〜110万円かかります。


トイレ


和式から洋式への変更に約20〜40万円、スペースの拡張で約10〜30万円かかります。
リビングから移動しやすい場所にトイレを設置するため、約40〜60万円プラスして、介護用のトイレを別に設ける方も多いです。

介護用リフォームで使える補助金・減税制度


介護を目的としたリフォームは補助金や減税制度があるので、是非活用しましょう。


先ほど紹介した全ての箇所をリフォームした場合、約600万円必要になります。
こうした補助金・減税を活用することで、費用を数十万円削減することができるので、ぜひ覚えておいてください。

補助金・減税を受けられる工事は下記の6種類です。

■手すり取り付け
■段差解消
■特定の床材への張り替え
■扉の引き戸化
■便器の取り替え
■上記の付帯工事


詳しい制度について


65歳以上の高齢者は身体機能の低下によって住宅内の事故が起こりやすくなります。

そのため、上記のような事故防止や自立した生活を目的としたリフォームであれば、住宅改修費として補助金を受けられるので、ぜひご活用ください。



高齢者住宅改修費用助成制度


最大20万円まで、リフォーム費用の9割までを補助してくれる制度です。
条件は「助成金対象の工事を行なうこと」「要支援・要介護認定を受けていること」の2点。
転居後や要介護ランクが三段階以上上がった場合は、もう一度受け取ることが可能です。


所得税・固定資産税の控除


上記で紹介した手すりの取付け・段差の解消・通路の拡幅・敷地内階段の勾配緩和・特定の床材への取替えといった「バリアフリーリフォーム」を行なうと、所得税と固定資産税控除の対象になります。

詳しくは以下をご覧ください。
▶ 事例でわかる!中古戸建てのリノベーション費用


まとめ


この記事では、介護リフォームが重要な理由をはじめ、介護リフォームにあたって重要となるポイントを詳しくご紹介してきました。



介護が必要になる方は特に、段差と立ち座りのリスクを解消することが、安全な暮らしにつながります。そのためには、手すりやスロープの設置、トイレを和式から様式に変更する、浴室を滑りにくい床にするなどの方法があります。



また、介護される方だけでなく、介護する側の視点に立ち、スムーズな介助ができ、介護の負担が軽減できるリフォームをすることも大切です。お互いのストレスを減らし、安心の生活ができるよう、段差の解消やトイレや浴室のリフォームなどを行っていきましょう。


介護が必要になってから急に準備をしても十分な環境が整えられないケースも多いです。お住まいの状態や介護度、予算などに合わせて、安心で最適なリフォームを早い段階から検討していくことが大切です。


費用については補助金の利用や減税制度もあるので、利用ができないかも検討しましょう。将来に向けて介護リフォームを検討したいという方は、是非、一度お気軽にご相談ください。


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