
高齢化社会の影響もあって、「バリアフリー」という言葉は日常的に使われるようになりました。「同居している母のために、そろそろトイレに手すりを付けておこうか」なんて、考えている方もいらっしゃいますよね。

総務省の調査によると、2020年9月15日時点のデータで65歳以上の高齢者人口は、なんと総人口の28.7%にまで達しています。
出典:総務省「統計からみた我が国の高齢者」
そのため、介護のためのリフォームを検討する方は増加しています。今や、半数以上の住宅に手すりやスロープなど、何らかのバリアフリー設備が備えられています!今回の記事では、介護リフォームとは何か、人気箇所はどこかなどを解説し、事例もご紹介します。
介護リフォームについて知ろう!
介護リフォームの目的
介護の受け手側が暮らしやすく、また、家族やヘルパーなど担い手側が介護しやすい家へと改修することを介護リフォームといいます。高齢者の自立した生活の維持を考え、日常生活における事故や怪我のリスクを減らす工夫も重要です。具体的には、「玄関や廊下の段差をなくす」「廊下に手すりを設置する」「車いすでもスムーズに使えるトイレにする」などの施工例があります。
介護リフォームを成功させるポイント
ここでは、リフォームを成功させるためには、どのような視点を持っておいた方が良いのか考えていきます。
■介護リフォームに必要な情報をまとめる
◎家の造りや必要な介護の内容
◎介護をする方の体格やスキル
◎介護時に必要とするスペース
など、まずは家庭の状況を整理し、何が必要で何が不要かをはっきりさせましょう。
例えば、車椅子に乗っている方でも、自走できる場合とそうでない場合がありますよね。自走できるなら、「タイヤを漕ぐ腕の幅を考慮して廊下を広めに設計する必要がある」と考えられます。
■被介護者だけでなく、介護者にも使いやすいリフォームを
リフォームは、介護者の使い勝手を考えた上で進めることも大切です。
◎収納エリアを複数箇所用意する
◎トイレや浴室などは、介護者が掃除しやすい広さを確保する
など、介護がスムーズにできるようにすると、負担が軽くなります。介護者・被介護者どちらにとっても快適な空間を目指しましょう。
介護リフォームの人気箇所は?
自宅での事故は、想像以上に多く発生しています。特に屋内で「ころぶ」事故で怪我をして救急搬送される高齢者の数は年々増えています。
出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」
・住み慣れた空間であることに対する油断
・気を付けていても体が思うように動かせない
などの原因で思わぬ事故が発生してしまいます。そうならないためにも介護リフォームが大切です。では、重要なリフォーム箇所はどこでしょうか。ここからは人気が高い順に紹介していきます。
1.手すり
介護リフォームで最初に設置を考えると良い設備は手すりです。トイレ・風呂場・階段などのほか、廊下や部屋などあらゆる場所に取り付けやすく、費用も大きくは掛かりません。転倒防止のほか、ちょっとした物を引っ掛けて置けるので、利便性も高いです。
2.トイレ
足腰が弱くなると、便座に座りづらくなります。また、洗浄レバーに手が届かなくなるケースもありますよね。座りやすい便座への交換や手洗い場の設置、人感センサー付きライトの取り付け、車椅子で入れるスペースの確保など、様々なリフォームが考えられます。
3.浴室
洗面所と浴室の段差を小さくすれば、転倒を防げます。浴槽に手すりを付けることも大切なポイントです。
4.段差
部屋と廊下の間にある敷居や玄関の上がり框(あがりかまち)など、家の中にはたくさんの段差があります。ほんの1cmでも転倒のきっかけになり得ます。開き戸を引き戸に変える、玄関にスロープを設置するなどはニーズの高いリフォーム箇所です。
5.省エネ
冬は風呂場と脱衣所・廊下の温度差が大きい季節です。高齢になるにつれて、風呂上がりの急激な温度変化によって心臓や脳に悪影響がでる「ヒートショック」のリスクが高まっていきます。介護者がいない時に突然倒れる可能性があると心配ですよね。
このリスクを回避できるのが省エネ住宅です。家の中の温度が一定に保たれやすくなり、月々の光熱費も抑えられるため、おすすめです。
介護リフォームの事例
■1:車椅子でも利用できるお手洗いへとリフォーム!
トイレの入り口に段差があり、車椅子が入るスペースもなかったため、トイレをリフォームした事例です。車椅子が入れる幅の出入口を新設し、フラットな床にクッションフロアを設置しました。また、手すりを設置し、一人でもトイレが利用できるようにしています。電気は人感センサー付きのものに切り替え、スイッチを押さなくても点灯するようになりました。こちらのリフォーム費用の総額は約27万円です。
リフォーム前
リフォーム後(トイレ正面) リフォーム後(2か所の出入口)
■2:車椅子に座りながら使用できる洗面台へとリフォーム!
車椅子に座ったまま使用できるように洗面台を改修した事例です。リフォーム前の洗面台は下部に収納スペースが設けられていて、車椅子がつっかえてしまう状態でした。そのままでは、座った状態で使用できません。そこで排水管、給水管、壁と床を改修し、洗面台の下に車椅子が入り込めるスペースを確保しました。使い勝手が非常に良くなったと嬉しい感想を頂いています。こちらのリフォーム費用の総額は約45万円です。
リフォーム前
リフォーム後
■3:車椅子でも快適な部屋へ!和室を洋室にリフォーム
敷居や畳同士の境目など、小さな段差や溝が多い和室。また、弾力のある畳の上では車椅子の取り回しも悪くなります。趣があって、お客様もお気に入りの小部屋だったのですが、安心して生活するためにリフォームを決意されました。畳を撤去してフローリングに改修し、車椅子でも快適に利用できる部屋に変身。こちらのリフォーム費用の総額は約20万円です。
リフォーム前
リフォーム後
介護リフォームの費用が気になる方へ
おおよその介護リフォームの費用は数万円~100万円程度です。改修の種類によっては公的な助成金や、税額控除を利用でき、かなり得をする場合があります。下記の記事で説明していますので、ぜひ、こちらもチェックしてください。
▶【5分でわかる!】介護リフォームにかかる費用相場
まとめ
バリアフリーは、今や日本の住宅の半分以上で行われるほど一般的になってきました。介護リフォームは、ご両親やご高齢の同居人の方が快適に過ごせるようにするだけでなく、介護をする方の負担を軽減するという大切な目的もあります。
今回の記事で、少しでも基礎知識が付いたり、介護リフォームへの足がかりになっていれば幸いです。分からないことがあればリフォーム実績が豊富な弊社に気軽にご相談ください。