4号特例の縮小でリフォームはどう変わる? 分かりやすく解説!〈後編〉

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2025年4月に建築基準法の改正が施行され、「4号特例」が縮小されることとなりました。これによってリフォームがどう変わるのか、前回に引き続き分かりやすく解説します。
今回は4号特例の変更点、縮小がもたらす影響についても詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

1.4号特例とは(前編の振り返り)


まずは前回のおさらいとして、4号特例について簡単に振り返ります。

4号特例とは住宅などの小規模な建築物に対する特例で、建築前の審査項目を一部省略できるなど、建てる人や施工会社にとってメリットとなるものでした。また、これは高度経済成長期に、審査する人員が不足したことでつくられた緩和措置といえるものです。

ただし、そもそも建築基準法や建築前の審査は、利用する国民の安全性を守るために定められたものです。そのチェックが住宅の場合は甘くなるというのは、万が一、依頼した施工会社がひどい会社だった場合、住宅の欠陥につながってしまうというデメリットもあります。

2.【2025年4月に施行予定】4号特例縮小の背景



2025年4月に建築基準法が改正されるとともに、この4号特例が縮小されることになります。この決定には、以下のような背景があります。

省エネ基準への適合


昨今の地球温暖化による影響を食い止めるため、世界的にその原因となる二酸化炭素などの温室効果ガス削減の必要性が叫ばれています。

日本も2030年までに二酸化炭素の排出量を2013年度比で26%削減、さらに2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目標として掲げています。

住宅の性能を上げることで、室内が外気の影響を受けにくくなり、エアコンが効きやすくなります。つまり、エネルギーを効率的に使用する省エネが可能になります。住宅の省エネ性能はさまざま数値で表され、望ましい性能をもっているかを示す省エネ基準が定められています。

カーボンニュートラルを実現するため、国は2025年4月、すべての新築住宅(増改築の場合は、増改築を行う部分)や非住宅に対して、省エネ基準への適合を義務づけることを決定しました。これまでは住宅以外の中・大規模建築物のみに省エネ基準への適合が義務づけられていましたが、これを住宅にも拡大したのです。今後は省エネ基準を満たしていなければ家を建てることができなくなります。

これを実行するためには、家を建てる前に国側がチェックしなければいけません。そのため、住宅の審査を省略化していた4号特例が縮小され、省エネ基準に適合しているかどうかを含め、関連する項目がしっかりチェックされることになったのです。

住まいの安全性の向上


住まいを省エネ化し、太陽光パネルを設置したりすると、家が重くなったり、比重のバランスが悪くなりやすくなります。そのため、今まで以上に強固な構造が求められます。

また、昨今の地震による被害を受けて、住まいの耐震性の向上が必須であるとされています。4号特例の縮小によって審査を厳しくすることで、必要な構造の安全性を満たしていることをチェックすることができます。

3.4号特例の縮小で何が変わる?




それでは、2025年4月の4号特例の縮小によって、住まいのリフォームや新築がどのように変わるのか具体的に確認していきましょう。

「4号建築物」という分類がなくなる


4号特例の縮小にともない、そもそも「4号建築物」にあたる区分がなくなります。木造住宅の分類は主に「新2号建築物」ないし「新3号建築物」のいずれかとなります。


新2号建築物にあたる建築物は、建築確認申請と検査が必須となります。平屋かつ延べ面積200㎡以下の新3号建築物にあたる場合は、都市計画区域内である場合、建築確認と検査が必要ですが、一部審査の省略が可能になります。

(参照)国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し

審査項目の省略がなくなる


これまで4号特例によって省略されていた一部の審査が、新2号建築物にあたる住宅の場合、すべて審査対象となります。建物の防火性や採光、換気性能、建築材料の品質なども今後は審査対象となります。

構造計算書と省エネ関連書類の提出が義務化


木造2階建てなど新2号建築物にあたる住宅は、建築確認申請の際に、構造計算書と省エネ関連書類もあわせて提出しなければいけなくなります。

耐震性や省エネ性が基準をクリアしていることを、計算書や設計図によって証明する必要が生じるということです。

大規模リフォームの場合も建築確認が必要



(出典)国土交通省からのお知らせ|2025年4月から木造戸建の大規模なリフォームが建築確認手続きの対象になります

リフォームを検討中の人にとって重要なのは、木造2階建てで床や壁、天井などを取り払い、骨組みだけ残してリフォームするフルリフォーム(スケルトンリフォーム)の場合、リフォームであっても建築確認申請が必要になることです。

この点について、次章で詳しく見ていきましょう。

4.4号特例縮小でリフォームはどう変わる?



4号特例の縮小は、住宅のリフォームに大きな影響を与えます。リフォームの流れも変わることになるので、きちんと理解しておきましょう。どのようなケースで建築確認が必要になるのかについて、施主側も理解しておくことで、思わぬ費用がかかることなどを防ぐことができます。

リフォームする際の流れの変化

リフォームをする場合、まず、建築確認申請が必要かどうかを見極める必要があります。これまで、住宅のリフォームで建築確認申請が必要になることがなかったため、建築確認申請の手続きができる施工会社が限られているからです。建築確認申請が必要となれば、費用や工期にも違いが生まれます。

建築確認申請が必要な「大規模リフォーム」に当たるかどうか、依頼を予定している施工会社や自治体に問い合わせてみましょう。その後のリフォームの流れは以下のように変わります。

<2025年4月以降のリフォームの流れ>
①建築確認申請が必要なリフォームかどうか、施工会社や自治体に確認する
②建築確認申請が必要な場合、申請手続きを行っている施工会社に依頼する
③リフォームプランの打ち合わせ
(施工会社が審査に必要な図書や構造計算書を作成し、建築確認申請を代行)
④「確認済証」が下りてから施工会社が着工
⑤完成後、工事完了検査を受ける

建築確認が必要なケースとは


国土交通省によると、大規模なリフォームには以下のようなものが該当します。

大規模リフォームとは:建築基準法の大規模の修繕・模様替えにあたるもので、建築物の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の一種以上について行う過半の改修等を指す。

つまり、キッチンやトイレ、浴室などの水まわりの設備のリフォームや、壁紙や床の張り替えなどの内装のリフォーム、手すりやスロープの設置には建築確認申請は不要です。ただし、注意しなければいけないのは、部分的であっても、家の構造部に影響するリフォームです。参考として、建築確認が必要なリフォームと不要なリフォームの例は以下のようになります。

<建築確認が必要なリフォーム>
・階段の架け替え工事
・屋根の全面的な改修(下地などの改修工事が全体の過半にわたる場合)
・外壁の全面的な改修(外壁を壊してつくり直すリフォームが全体の過半にわたる場合)
・梁などの構造材を含む床の張り替え(床面積の過半にわたる場合)

<建築確認が不要なリフォーム>
・屋根や壁の構造にかかわらない、仕上げ材のみの改修
・構造材をいじらずに壁の内側や外側に断熱材を入れる工事
・キッチンやトイレなどの設備の一新
・床やクロスの仕上げ材のリフォーム

5.4号特例の縮小後にリフォームする際の注意点



4号特例の縮小が行われる2025年4月以降にリフォームする人は、下記のような点に注意する必要があります。知らずにリフォームして後悔することのないよう、ぜひ目を通しておいてください。

建築確認申請に慣れた施工会社を探す


リフォームを専門に行っている会社の中には、法律に準拠した設計を行うための建築士が在籍しておらず、建築確認申請を行ったことがないという会社もあります。これまでは住宅のリフォームで建築確認申請を求められることがなかったため、それでも事業を行うことができたからです。

4号特例の縮小後は、確認申請が必要な大規模リフォームを手掛けようと思ったら、リフォーム会社であっても建築士を雇うか、外注する必要があります。

ただし、4号特例が縮小されて間がないと、そうした会社の場合、体制が整っておらず、トラブルに発展する恐れもあります。施主側も正しい理解が必要になるので、少なくとも4号特例について詳しく、しっかり説明してくれる会社を選ぶようにしましょう。

リフォーム費用は余裕をもって準備する


4号特例の縮小によって、施工会社は細かな基準に沿った設計を行ったうえ、膨大な計算書や省エネ関連書類を準備しなければならなくなります。

そのため、コストの増加は免れず、これまでと比べてリフォーム費用が割高になることが考えられます。

2025年4月以降は「親戚は同じリフォームでこのくらいの値段だったと聞いたのに、予想以上にかかって生活費が圧迫されてしまった」ということもあり得るため、余裕をもった資金計画を行うようにしましょう。

工期が延びる可能性に備えておく


施工会社が行うべきタスクが増えるため、工期も今まで以上にかかると考えられます。

リフォームの工期が延びると、その間の仮住まいの費用が嵩んでしまう恐れもあります。建築確認が必要な大規模リフォームの場合、どのくらいの工期になりそうか、事前に施工会社に確認しましょう。

6.4号特例の縮小について理解し安心してリフォームしよう



リフォームをしようと思っていても、「どうやら法律が変わるらしい」と聞いて、二の足を踏んでしまう人もいるかもしれません。

しかし、4号特例の縮小には、より安全で信頼性の高いリフォームが可能になるという施主にとっての大きなメリットもあります。

4号特例の縮小によってどう変わるのか、何に注意するべきかを理解し、納得してリフォームを行うようにしましょう。

(参考)
https://suumo.jp/remodel/blog/entry/20241126/001
https://www.zoukaichiku.com/shoenekijun
https://suumo.jp/remodel/blog/entry/20241126/001#tboc3

 

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