【築40年戸建て】リノベーションにかかる費用と注意ポイント解説

 


相続した築40年の戸建て住宅に住み替えたい、価値を高めて売却したい、貸したいといった場合、どのようなリノベーションを行えば良いのでしょうか。本記事では、築年数の経過した戸建て住宅におけるリノベーションの必要性と方法、費用などを解説していきます。

築40年戸建ての問題点



築40年の戸建て住宅には、床のひずみや、壁紙が汚れたり、水周りの設備が老朽化するなど問題点は多々あります。ですが、いかに内装や外装、設備をきれいにしても、構造部分の耐震性に問題があれば、大きな地震で倒壊するリスクがあり、安心して住むことができません。

 

築40年の戸建て住宅は、建築基準法による耐震基準が設けられた以前に建てられているため、老朽化やシロアリ被害などにより基礎や柱が傷み、耐震性が低下している恐れが高いです。

 

また、瓦屋根が多く、屋根が重く重心位置が高いのも問題です。建物が不安定となって、地震の揺れに対して弱くなってしまいます。しかも、瓦を下地に留め付けない旧来の工法により施工した瓦が多く、地震や台風により、瓦が落下するリスクも高いです。

 

耐震基準とは

 

1978年(昭和53年)6月に発災した宮城県沖地震の教訓により、1981年(昭和56年)6月に建築基準法が改正されました。1981年6月以降に建てられた木造住宅は、壁(筋交い)の量が多くなり、耐震性が向上しています。

 

しかし、1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発災した際には、1981年以降に建てられた木造住宅でも20%が全半壊しました。阪神・淡路大震災の教訓から、2000年(平成12年)6月に建築基準法が再度改正され、壁(筋交い)の量だけでなく、壁のバランスや金物の仕様規定など、細かい規定が決められました。

 

築40年戸建てにおすすめのリノベーション



築40年の戸建て住宅におすすめのリノベーションは、現在の状態における問題点を解決する工事です。耐震補強をはじめ、建物の内部構造からリノベーションをしましょう。

 

外壁や屋根の塗装が剥げている、壁紙や床が劣化している、住宅設備が故障しているなど、表面的な問題が目につきがちです。

 

ですが、床下や天井裏、壁の内部や柱の中はどうなっているか、耐震診断やホームインスペクションなど専門家に調査してもらい、問題点を根本からリノベーションをするのが大切です。

 

スケルトンリフォーム

 

スケルトンリフォームとは、壁や床などを取り外して、建物の骨組みを露出させ、目には見えなかった部分から改修する工事のことです。

 

床の張り替えだけでは対応できない、床下地の交換をはじめ、床下の基礎部分を補強することや壁の内側や天井裏に張られているボロボロに劣化した断熱材の交換などもできます。

 

床下や壁の内側に通っている老朽化が進んだ配管や配線などを交換することで、漏水や漏電火災などの防止にもつながります。配管の位置を変更することもできるので、水回りの位置を変えることも可能です。

 

築年数の古い住宅では、部屋が複数に分かれているケースが多いです。近年は核家族化や少子化で家族の人数も減り、生活様式の欧米化で、小さな和室などより、広いフローリングの部屋が好まれる傾向にあります。

 

複数の部屋をつなげて広い部屋にしたい場合には、壁を取り計らう必要もあり、スケルトンリフォームが求められます。スケルトンリフォームでは、現代のライフスタイルに合わせた間取り変更もできるため、築40年戸建てには特におすすめです。

 

耐震補強



耐震補強の方法には基礎の補強や壁や柱の補強、屋根を軽くするなどの方法が考えられます。スケルトンリフォームを行うなら、同時に耐震補強工事もしやすいので、耐震性を高める絶好のチャンスです。リノベーションと同時に耐震補強を行うことで、別々に施工するより、コストを抑えられます。

 

主な耐震補強工事の方法

 

耐震補強工事は建物の状態や構造などにより、下記の方法を一つから、複数組み合わせて行うのが一般的です。既存住宅を建て替えずに耐震補強するための施工方法を見ておきましょう。

 

基礎を強くする

 

基礎は建物の土台として地面と密着させることで、建物を支え、地震の揺れから守る機能を果たします。基礎が経年劣化して、ひび割れが生じている場合には、エポキシ樹脂などを注入してひびを塞ぐことが必要です。また、鉄筋が入っていない場合は、鉄筋コンクリートの基礎を足す増し打ち工事もおすすめです。

 

壁の強化

 

耐震補強工事の中でも、最優先で行われるのが壁の強化です。現代の技術を活かした耐震性の高い壁を設置するなどします。この際、柱が抜けてしまわないように、金物でしっかり固定することが欠かせません。

 

土台の改修

 

築年数が経過した住宅は、布基礎という工法のケースが多く、床下に土がむき出しとなった構造で、床下に湿気が溜まりがちです。これによって土台部分の木材が腐ったり、カビたり、シロアリが発生してしまうリスクがあります。シロアリは木材を食い散らしながら、どんどん繁殖して、上部の柱の中まで空洞にしてしまう恐れもあります。

 

被害がひどい場合には建て替えを考える必要がありますが、改修で改善できる場合には、傷んだ木材を取り外して交換する工事などで対応が可能です。

 

この際、リノベーション後の腐朽やシロアリ被害を防ぐため、防腐・防蟻処理を行うことや床下に調湿炭を敷き詰めるなどの対策を講じることもおすすめです。

 

屋根を軽くする

 

屋根が軽いと建物が倒壊しやすい、重いと倒壊せずにとどまりやすいと思われることがありますが、実は逆です。屋根が重いと重心位置が高くなり、建物が不安定になって、地震の揺れに弱くなります。

 

また、屋根や壁が重いほど、それを支えるために必要な壁の強度を高める必要があり、古い住宅では、屋根の重さに対応する十分な強度の壁が設置されていない可能性があります。

 

築40年といった築年数の古い住宅は、日本瓦や土葺き瓦のケースが多く、近年普及しているスレートや金属屋根に比べて、重量が重いです。瓦屋根を葺き替えて、重量の軽いスレート屋根などに変更することで、耐震補強が可能です。

 

給排水管交換

 

給排水管の寿命は、30~40年程度です。水漏れやサビが発生している可能性があるので、これまでにメンテナンスを行っていない場合は、水回りのリノベーションと同時に実施しましょう。

 

電気配線&コンセント/スイッチ交換

 

電気系統には耐用年数がありませんが、長く使っていると火災・漏電などの可能性が高まります。リノベーション時にコンセントの配置変更と同時に行うと、コスト節約になります。

 

シロアリ予防・駆除工事

 

木造住宅の劣化原因は、1位が腐朽、2位がシロアリによるものだと言われています。

腐朽やシロアリの被害を受けると修復が必要になりますし、家の資産価値が下がってしまいます。また、被害が大きいと耐震性能さえも低下してしまいます。お住まいを長持ちさせるためには、定期的なシロアリの予防工事が必要です。

 

築40年戸建てのリノベーション・耐震補強の費用



リノベーションにあたり、耐震診断にかかる費用は標準的な戸建で5万円(税抜き)、耐震補強工事の費用は住宅の規模や改修前評点、改修後評点、補強方法などにより異なりますが、100~300万円ほどが目安です。

 

これに加えて、スケルトンリフォームや部分的な改修、住宅設備の交換などを行うとリノベーション全体の費用は500~2,000万円程度に及ぶこともあります。

 

耐震補強工事はリノベーションの中でも、最も行っておきたい工事ですが、状態により費用も高めになります。

 

もっとも、国の政策としても、耐震性が低い古い住宅の耐震性向上を推進する観点から、補助金制度や減税制度が設けられているので、うまく活用すれば費用を抑えることが可能です。

 

耐震リフォーム補助金は自治体によって、対象となる建物や工事の内容、補助額や上限額が異なっているため、住宅が所在する市区町村で確認することが必要です。また、補助を受けるには工事前に申請が必要となるため、気を付けなくてはなりません。

 

よくある補助要件として、1981年(昭和56年)5月31日以前の旧耐震基準により設計・建築された建物であることをはじめ、日本建築防災協会の木造住宅の耐震診断と補強方法にもとづき、診断結果1.0未満の建物を1.0以上に改善する工事であることなどが挙げられます。

 

補助額は自治体により異なり、耐震改修工事に要した費用の2分の1や3分の1、5分の4など補助割合はさまざまですが、上限額は100万円とするケースが多いです。

 

なお、補助金を受けて実施された耐震改修工事と同時に実施されたリフォーム工事に要した費用の中央値は住宅耐震改修工事費補助で約355万円、簡易耐震改修工事費補助で約171万円となっています。

 

耐震改修工事を行うことで、耐震改修促進税制の適用が受けられ、所得税や固定資産税の特別減税が受けられることがあります。

 

所得税においては、一定の要件を満たすことで、耐震改修にかかった費用の10%相当額、上限25万円まで所得税から控除を受けることが可能です。固定資産税においては、一定の要件を満たすことで、1年度に限ってですが、1戸あたり120㎡相当分まで固定資産税が半額になります。

 

リノベーションより建て替えが良い場合も


老朽化の度合いが激しく、改修工事を行うことで建物の安全性に問題が生じる場合は、リノベーションができません。

 

また、間取り変更を行いたい場合、伝統的な木造軸組立工法であれば、間取り変更の自由度が高いですが、近年増加しているツーバイフォー(2×4)工法の場合、壁や柱が抜けない部分があり、間取り変更に制約が生じます。

 

ツーバイフォー工法が日本で普及し始めたのも、ちょうど40年ほど前からなので、築年数が古くても伝統工法とは限りません。

 

リノベーション費用が高額となり、新築物件を購入するのと変わらないようなケースなら、一から建て直したほうが安全であり、間取りや内装、外装の自由度が高くなります。

 

リノベーションが良いのか、建て替えが良いのか判断に迷うときはぜひ、下記の記事を参考にしてください。

 

【二世帯住宅】リノベーションor建て替え?

 

築40年戸建てをリノベーションする前に



築40年の戸建て住宅をリノベーションする前に、まずは耐震診断を受けましょう。耐震診断を受けることで、耐震補強工事の必要性やどのような工事を行えば良いかがわかり、予算を立てやすくなります。

 

高額な費用がかかる場合や耐震性に大きな問題があり、耐震補強工事では補えない場合には建て替えを行うという選択にもつながります。

 

自治体における耐震リフォーム補助金の交付、所得税や固定資産税の耐震改修促進税制の適用を受けるにも、適正な方法による耐震診断を受けることと、その評価結果が要件となっているため、必要不可欠です。

 

耐震診断について詳しく知りたい方は、下記のページも合わせてご覧ください。

 

耐震診断

 

まとめ



築40年の戸建て住宅は建築基準法による耐震基準を満たしていないケースも多く、リノベーションにあたっては外装や内装を工事するだけでなく、耐震補強工事を行うことも大切です。

 

相続した家に住むにしても、売却や賃貸をするにも、今後も安心して暮らすためのリノベーションが欠かせません。耐震工事を行うにはまず耐震診断を受けましょう。構造や状態を把握することで、必要な工事が明確になります。

 

工事内容に応じて費用にも差が生じますが、自治体の補助金制度を活用することや工事後の減税制度の適用により、負担を抑えることも可能です。


リノベーションについてさらに詳しく知りたい方は、下記の関連記事もぜひ、ご覧ください。

 

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