古民家リノベーションの魅力とは?メリット・デメリットまとめ


(公開日:2022年7月19日/更新日:2023年6月5日)


縁側に座って田園風景を眺め、セミの鳴き声を聞きながらアイスを食べるなど、そんな日本の古き良き情景に心を動かされ、「レトロでおしゃれな家を手に入れて暮らせたらいいな」なんて、考えている方も多いですよね。


しかし、実際に古民家リノベーションについて詳しい方は少ないはずです。この記事では、古民家とはどんな家を指すのか、リノベーションとはそもそもなんなのか、知っているようで実は正しく理解していない点も多い、古民家リノベーションのメリット、デメリットをご紹介していきます。



古民家リノベーションサムネイル



古民家リノベーションの費用相場や事例もご紹介していきますので、検討中の方、ご興味ある方はぜひ参考にしてください。



古民家リノベーションの特徴

 

近年、TV番組やYouTubeチャンネルなどで度々紹介され、注目を集める機会が増えているのが古民家のリノベーションです。映像を見てなんとなくいいな、素敵だなと思っている方も多いのではないでしょうか。

 

ここでは、古民家とはどんな住宅を指すのか、その特徴を解説します。



古民家リノベーション和室

そもそも古民家とは?

みなさんは、古民家と言われて、どんな家を思い浮かべますか。築年数が経過した古い家と思う方、江戸時代や明治時代から受け継がれてきた趣ある建物と思う方もいれば、レトロな感じの建物など、イメージはさまざまかもしれません。

 

実は、古民家には明確で具体的な定義はありません。一般的には、日本の伝統的な工法で建てられた木造の家を指します。近年は木材のみで造られる住宅が減っているため、おのずと築年数も長いものが多くなります。

古民家リノベーションのメリット


古民家リノベーションでは、日本家屋の趣あるデザインを活かしながら、住居空間には現代的な機能を持たせることが特徴です。

 

マイホームを得る方法としては、新築の購入や、中古住宅を購入してリノベーションする方法などがありますが、古民家リノベーションはどんな魅力があるのでしょうか。古民家リノベーションのメリットを紹介していきます。
 


新しさと古さをあわせ持ったデザインを実現できる

新築住宅は成形された木材をメインにして建てられます。一方、古民家リノベーションでは古民家ならではの木材の曲線を残しながら、味わいあるデザインを生み出すのが特徴です。

 

建築デザインは流行り廃りがありますが、古民家にはいつの時代にも失われない、古式ゆかしい趣が残されています。ノスタルジックな趣を持つ古民家に、新たな息吹を吹き込むのが古民家リノベーションです。

 

つまり、古民家リノベーションを行うことで、懐かしさと現代のトレンドを兼ね備えるデザインを実現できます。つまり、新旧の融合、新旧のいいとこどりとも言えるのが、古民家リノベーションなのです。

 

昔ながらの趣ある住宅でありながら、現代のライフスタイルを実現できるので、使い勝手も良く暮らしやすいというメリットがあります。



固定資産税を抑えられる


建物の固定資産税は、建物の価値が建築からの経過年数に応じて低下すると想定するので、築年数が長くなるほど安くなります。

 

古民家は築数十年~100年以上経過した築年数の長い物件がほとんどであるため、新築住宅を購入するより、建物の固定資産税を安く抑えられるのがメリットです。

 

土地の固定資産税は地価に左右されますが、建物は築年数が長くなるほど、安く抑えることができます。

 

土地の相場が同じ地域で、古民家と同じ規模の新築の建物を購入した場合や新築した場合の固定資産税に比べると、税負担を軽減できる分お得です。

 

たとえば、実家の古民家を解体して建て替えるか、リノベーションするか迷った際、建て替えをすると解体費用と新築費用がかかり、固定資産税も高くなります。

 

リノベーションなら、工事費用がかかりますが、その後毎年かかる固定資産税額は新築より安く抑えられるのです。



使用されている材料の強度が高い

 

古民家をリノベーションしても、その後の耐用年数が不安という方も少なくありません。せっかく、費用をかけてリノベーションをしても、長く住まないうちに解体して建て替えしないといけなくなるのでは、確かに困ります。

 

ですが、古民家にはヒノキやケヤキなど、貴重な建材が使われているケースが多いです。

ヒノキの耐用年数は800~1200年とも言われ、驚くほど長いです。

 

使われている建材の品質が高ければ、お子さんやお孫さんの代まで家を残せます。耐久性が高いため、古民家をベースにしながら、その時代の生活様式に合わせてリノベーションを行う費用だけで済むため、維持コストもお得です。




身体に優しい建材を使用している

新築の賃貸住宅に引っ越した際に、「咳が止まらなくなる」「くしゃみを連発する」など、体調に異変を感じた経験がある方はいませんか。原因は、環境の変化ではなく、住宅にあったのかもしれません。

 

現在の住宅建築では強度や費用の面から合板を使ったり、接着剤を用いたり、化学成分を含むもので表面をコーティングしています。

 

ホルムアルデヒドなどの有害物質を含んでいるケースも多く、敏感な人はアレルギー反応を起こすので注意が必要です。こうした症状をシックハウス症候群と呼びますが、古民家の場合、このリスクは低いでしょう。

 

古民家が建築された時代は、現在のような技術の進化もなく、化学的に合成された素材や塗料を使っていません。木材や釘、漆喰など自然素材を利用して造られているため、アレルギーが起こりにくいです。古民家に移住することで、快適に暮らせるようになる方も少なくありません。




地域の気候に対応している


日本は四季がある世界でも珍しい気候の国です。また、南北に長いため、沖縄と北海道では全く気候が異なり、南国のように暑い地域と冬は雪が深く積もる地域があります。

 

島国として海に囲まれており、海に面した地域もあれば、内陸部や山のふもとの地域もあります。それぞれの地域によって気候や風土などが異なるのが特徴です。

 

古民家は先人の知恵に基づき、その地域の気候や風土に合わせて建築されています。夏は涼しく、冬は暖かくを基本に、湿気が多い日本において風通しのいい家が造られてきました。

 

現代は環境破壊が進み、古民家が建てられた当時の気候条件とはかなり変化が起きています。

それでも、昔ながらの過ごしやすい住宅に、現代の技術を取り入れたリノベーションを行うことで、現代の環境と調和しながら省エネ化を実現できます。




非日常的な空間を楽しめる

大きな柱や天井を格子状に走る梁、土間など、日本家屋にしかない開放的で心落ち着く雰囲気は、古民家ならではの魅力です。

 

今時の家にしか暮らしたことがない方や生まれた時からマンション暮らしといった方も、古民家に一歩足を踏み入れると、どこか懐かしい、癒される感じがするはずです。

 

一方で、実際に暮らしてきた家とは使われている素材も異なります。生きている木の香りが感じられるようなレトロな空間で、時を忘れてリラックスできるかもしれません。

 

誰にも邪魔されない老舗旅館に訪れたような感覚で、非日常的な時間が過ごせます。古民家の良さや趣を残しながら、現代のデザインをプラスするのが理想的です。



古民家リノベーションのデメリット

耐久性が高く、昔ながらの趣を楽しめ、過ごしやすいというメリットがある古民家ですが、昔に建てられたからこその弱点があるのも事実です。

 

ここでは、古民家をリノベーションする際のデメリットについて見ていきます。古民家を買ってリノベーションするか迷われている方に、リノベーションにあたって注意したい点をご紹介します。



耐震性が低い


形式的に見て耐震性は低いです。なぜなら、現在の建築基準法で耐震基準が定められる前に建てられた住宅であるため、現行法を基準にすると耐震性評価は低くなるのが一般的です。

でも、直ちに地震が来ると危ないというわけではありません。

 

木造住宅は現代の耐震性の高い鉄筋コンクリート造の建物などに比べて、地震に弱い、倒壊しやすいと言われます。確かに工法などによっては、耐震性が低い場合もあります。でも、実際には大きな地震が起こった地域であっても、古民家が残っている場合は多いです。地盤などの影響もありますが、大地震に見舞われても壊れなかった古民家があるのも事実なのです。

 

ただし、目に見えない部分が劣化している可能性があるため、古民家を購入する前にはインスペクションを行い、耐震性などに問題がないか確認することが大切です。



断熱性が低い

 

日本の気候の特徴として四季があり、夏は暑くなって湿気が多く、冬は寒くなって乾燥します。極端な湿気や乾燥は家屋の大敵であり、私たちの健康にも良くありません。

 

そのため、古民家の造りは風通しを考慮していて、天井が高い造りになっています。夏は熱がこもりにくく比較的快適に過ごせる一方、冬は寒いという断熱性の低さがデメリットです。

 

地域にもよりますが、暖房のコストがかさむことやヒートショックのリスクが高まります。

リノベーションにあたっては、断熱性を高めることを意識しましょう。

 

中古住宅の断熱については、下記の記事で詳しく解説していますので、そちらも是非、ご覧ください。

 

建築士が教える中古住宅の断熱リフォーム|費用を抑えて効果的に行うポイントは?




期間が長くなる可能性がある

現在の住まいを手放すタイミングで住み替えたいと考えている方は、リノベーションにどのくらいの期間がかかるか事前に把握しておきましょう。また安全に工事を行い、建物の耐久性や耐震性などを確保するためには、現在の建物の構造を理解する必要があります。

 

もっとも、古民家の場合、当時の図面が残っていないのが通常であるため、事前調査に時間がかかります。

 

現代とは工法も異なり、昔ながらの形を残したい部分も多いため、リノベーション工事も少しずつ丁寧に行っていかなくてはなりません。

 

工事を進める中で、事前調査ではわからなかった老朽化部分が見つかるケースも多いです。

そのため、補修や耐震工事が必要になるなどして、当初の計画より工期が伸びることもあるので注意しましょう。



古民家リノベーションの費用相場


古民家リノベーションの費用は一概には言えません。築年数、規模をはじめ、どのくらい手を加えたいのかにもよります。

 

古民家の良さや趣をできる限り残して、手を加えるのは最小限に抑えたい方もいれば、趣を残しつつ、現代のライフスタイルに合わせた便利な住宅にリノベーションしたい方もいます。

 

リノベーションの内容や規模により、費用は大きく変わってきます。築年数や老朽化の度合いにより、耐震工事や補修工事に必要となる費用にも差が出ます。築年数が古くても、建材や工法がしっかりしていれば、老朽化は進んでいないかもしれません。一方、そこまで古くなくても、メンテナンスが行き届いていなかったなどで老朽化が進んでいる場合もあります。

 

そのため、古民家リノベーションの費用は元の家の状態によるのですが、目安としては500万程度です。ただし、構造が劣化している場合は1,000万以上かかる場合もあるので、事前調査をしっかり行い、予想外の費用がかからないように注意しましょう。



古民家リノベーションで活用できる補助金制度


古民家をリノベーションするにあたっては、地域によって特別な補助金を得られるケースがあります。自治体によって異なるため、古民家の購入やリノベーションを行う前に、適用できそうな補助制度があるか確認してみましょう。

 

たとえば、資源の有効活用や歴史的な建物の維持、再生を図るために古民家再生を補助する自治体もあります。また、地球温暖化防止や住まいの安全確保、資源保護の観点から、省エネや防災に役立ち、長期に使える住宅に改修する場合に補助を受けられるケースも少なくありません。

 

たとえば、耐震工事や省エネ性能を高める断熱工事などに補助金が出される場合があります。ただし、対象の工事や施工後に満たすべき基準などがあるので、しっかり確認を取りましょう。



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古民家リノベーションの事例をご紹介

ここでは、弊社が施工した古民家リノベーションの事例をご紹介します。これまで、さまざまなご相談内容に対して提案をさせていただきながら、お住まいを生まれ変わらせてきました。古民家リノベーションをご検討の方はぜひ参考にしてください。



日本家屋の耐震リノベーション

「南側の広縁部分の壁が少ないことが心配」とご相談いただいた事例です。安心して住める安全な家を目指して、耐震補強工事をしてほしい、とご要望をいただきました。 そこで、壁の量を増やすために壁の新設を行いました。床の間は和風の景観を崩さないよう、梁を活かした補強を施しています。また、建物の内側は玉垣基礎だったため、主要な内壁・間仕切りの下で一体となるように基礎の新設を行いました。


壁面の施工前


壁面の施工前1
壁面の施工前2 



壁面の施工後



壁面の施工後1
壁面の施工後2 



基礎の新設作業



基礎の新設作業1
基礎の新設作業2





和の風格を残した町屋風のリノベーション

「古民家をリノベーションしたい」とご相談いただいた事例です。費用についてもご提案しながら、外壁・キッチン・座敷・居間・土間・板の間・洗面化粧台に至るまで幅広く施工しました。

 

日本家屋らしい伝統的でどっしりとした外観を守るために、虫籠窓・格子窓・羽目板腰壁などを再現し、おしゃれな町屋を再現しています。

 

内装は元々あった太い柱や大きな梁の木組みを合わせて、印象的な空間に。また、漆喰壁や間接照明をあしらうことで、ふんわりとした雰囲気を演出しました。

 

床は素足でも底冷えせずに歩けるよう、土間や板の間に無垢のパイン材を使用。水回りの壁には、調湿・消臭効果が高い天然スイス漆喰塗りを活用し、身体にも優しい場所になりました。




施工前の様子




施工前の様子1
施工前の様子2



施工後の様子





施工後の様子1
施工後の様子2

古民家リノベーションを依頼する会社の選び方


古民家リノベーションを依頼するには、まず、古民家のリノベーション実績が豊富か確認しましょう。会社によって得意分野、不得意分野があります。

 

「現代工法の新築物件ばかり担当している」「水回りのリフォーム専門」などの会社では、現代の構造とは異なる古民家を安心して任せることはできません。施工事例をチェックして、どのような工事を得意としているのか確認しましょう。

 

また、古民家リノベーションの事例がある場合も、自分が理想とするリノベーションになっているかをチェックしましょう。どんな暮らしがしたいのか、どんなデザインが理想かを考え、それを実現してくれそうな会社を選ぶのがおすすめです。

 

また、安全に暮らしていけるよう、事前調査をしっかりしてくれること、施工後のアフターサービスも丁寧な会社がおすすめです。

 

会社の選び方について、詳しくは下記の記事で解説していますので、ぜひ、こちらも合わせてご覧ください。

 

▶リノベーション会社の選び方|優良業者を見極める5つの視点

まとめ

新しさと古さをあわせ持った、オンリーワンの住まいを手に入れられる古民家リノベーションは、近年注目されています。建材に自然素材が使われており、身体に優しく、しかも耐久性が高いとは意外だったかもしれません。

 

本記事では、古民家の魅力やリノベーションのメリット・デメリットや注意点、費用相場や補助金について、実際の施工事例、そしてリノベーション会社の選び方をご紹介してきました。

 

最後まで読み進めていただき、古民家リノベーションへの気持ちが高まった方は、古民家リノベーションの実績が豊富な弊社にご相談ください。


 

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